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ネット上にあふれる膨大な土地情報から「たった1つの土地を決めなければならない」というのはなかなか難しいこと。

・この土地に何か問題はないのか?
・他にもっといい土地があるのではないか?

という疑問がつきまとうからです。
そこで「子供の学区だから」とか「ずっと住み慣れている街だから」という理由だけではなく、建築のプロなら土地のどのような点をチェックするのか?を知っておくだけであなたの土地選びが順調になるはず。

ということで今回からどのような視点で見ればよいかについて情報共有していきたいと思います。
例えば、私たちなら以下のような項目を見ます。

A:周辺価格相場とのズレ
B:法令上の制限、特に地区計画や風致地区などのローカルルール
C:境界ポイントが適切に入っているか
D:電気、ガス、水道のインフラ整備は。特に水道管の種類と口径は
E:隣地からの越境物はないか
F:隣地または道路との高低差状況はどうか

今回は境界ポイントが適切に入っているか

についてご案内をします

1. 境界と筆界の違いとは?

まずは「境界」と「筆界」の違いを理解しましょう。

  • 境界(きょうかい)
    境界とは、実際の土地の物理的な区分を指します。隣接する土地の所有者同士が「ここが境界線だ」とお互いに合意し、目印(境界標、石杭、プレートなど)を設置して物理的に明示するものです。
  • 筆界(ひっかい)
    一方、筆界は法的な区分を意味します。法務局が管理する「登記簿」に記録された土地の境目のことです。筆界は、法的に定められた線であり、必ずしも実際の境界と一致するとは限りません。

不動産の売買では、「筆界がどこにあるか」を法的に確認すると同時に、「境界がどこにあるか」も現地で明確にしておく必要があります。


2. なぜ境界や筆界の確認が重要なのか?

境界や筆界を曖昧にしたまま土地を売買すると隣地の所有者と立場が対立まで発展してしまうことがあり、時間や費用がかかる大きな問題に発展することも少なくありません。

(1)隣地との境界トラブルのリスク

土地の売買後に隣地の所有者から「この塀はうちの土地を侵害している」「境界線が違う」と主張されてしまっては溜まりません。売主が「だいたいこの辺だと思う」と答えるケースもありますが、曖昧な境界認識は後で隣地とのトラブルの原因となります。

(2)面積の食い違い問題

筆界が曖昧な場合、実際の面積が登記簿面積と異なるケースが多々あります。特に登記簿面積よりも実際の面積が小さかった場合、売買代金の一部返還を巡ったいさかいになることがあります。

(3)将来の土地活用支障

境界が不明確なまま土地を購入すると、後々の土地の活用や建築計画に支障が出る場合もあります。建物の新築や増築を行う際、民法上隣地境界線から50cm以上離すという要件があるため、境界が不明確では建物の設計が立てられません。特に狭小地では注意が必要でしょう。


3. 境界や筆界を確認する方法

では、境界や筆界の確認はどのように行えば良いのでしょうか?ここでは、具体的な方法を紹介します。

(1)筆界の確認(登記簿・公図・地積測量図の取得)

まずは法務局で必要書類を取得し筆界の位置を図面上で確認します。ただし公図そのものが正確な筆界を表すわけではありませんし、また地積測量図は比較的古い(昭和50~60年代のもの)が多いので過信はできません。

(2)現地確認を行う

必要書類を入手してたら現地を訪れて境界標(石杭、金属プレートなど)を確認しましょう。金属プレートなどは接着剤の劣化によって剝れてしまっていることもあるので現地確認は必ず行い、確認できた箇所は写真を撮るべきです。

(3)境界確定測量を実施する

売主が境界を明示できない場合は買主側で境界確定測量を行う必要があります。境界確定測量は、土地家屋調査士が隣地の所有者と協議しながら、実際の土地の境界を確定していく作業です。測量後は「境界確認書」が作成され、これがトラブル回避の重要な証拠となります。


4. 境界確認を怠った場合のリスクとトラブル事例

(1)隣地所有者との境界紛争

ある購入者が「ここにフェンスを設置しよう」と思って工事を進めたところ、隣地の所有者から「その場所はうちの土地だ」とクレームが入りました。実は、売主が「大体この辺が境界だ」と説明していた場所が間違っていたのです。結局、買主は弁護士を雇い裁判費用とやり直し工事費を負担する羽目になりました。

(2)売買後の面積減少トラブル

登記簿上は100㎡だった土地を購入したが、境界測量をしたところ実際には95㎡しかないことが発覚。買主は「5㎡の差額を返してほしい」と売主に請求しました。最終的に和解が成立しましたが、売主は返金に応じるだけでなく、測量費用まで負担する結果となりました。


5. トラブル回避のためにやるべきこと

土地売買の際は、以下の手順を必ず実行しましょう。

  1. 売主に「境界確認書」を求める
    売主が境界を明確に示せない場合は、境界確定測量を依頼しましょう。
  2. 土地家屋調査士に相談する
    境界のトラブルは複雑なため、土地家屋調査士の専門的な知識が必要です。
  3. 隣地の所有者と立ち会いのもと確認を行う
    隣地の所有者と境界の位置をお互いに確認し、合意が取れれば「境界確認書」を作成します。

6. まとめ

土地の売買において「境界」と「筆界」の確認は非常に重要です。曖昧なままで進めてしまうと、後々のトラブルが発生する可能性が高まります。境界の確認は手間と費用がかかりますが、トラブルを防ぐための事前投資と考えましょう。

その時の費用負担を誰がするか、ということが問題になりますがもし売主が費用負担をしない場合、土地価格の指値(値引き)を要請することは十分に考えられることを念頭に置いて交渉してみてください