「コスパ」という言い方を初めて聞いたのは何年も前になりますが、今では流行語というよりもはや浸透した感がありますね。
さらにはタイパ(タイムパフォーマンス)といってYouTube動画などを2倍速で観たり、リスパ(リスクに対するパフォーマンス)など効率を重視する人がとても多い時代になったようです。
しかしだからこそ、私たちは「コスパで選ぶから家づくりが失敗する」という立場を強く表明します。
それはなぜか?
結論から言えば「インターネット上でわかるコスパ情報には、肝心なことが掲載されていない」からです。
インターネット上でわかることの一例は「住宅の断熱性」
・我々の家は次世代省エネ基準を大幅に上回っています
・断熱等級6が標準仕様です
・ua値0.26を達成します
など、一見バラバラなように見えてua値という同じ単位で比較すればその優劣がわかります。
その他にわかることの一例は「住宅の価格」
・我々の家は坪単価80万円です
・総額2900万円です
・本体価格1800万円です
など、一見バラバラなように見えても同程度の大きさで総資金を比較すればその優劣がわかります。
このように住宅性能や価格はインターネット上でかなりわかるようになったことから「価格に対して住宅性能が最も高い会社はどこだ?コスパが最も高い会社はどこだ?」と情報の洪水に溺れてしまっている人がこのところ大変増えました。
それではインターネット上でわからない肝心なこととはいったい何でしょう?
ずばり「人的サービス」です。
これは建築会社によって本当に大きな違いがあります。ディスカウントストアと高級百貨店との人的サービス違い、以上に大きいと言ってよいと思います。
価格だけを見ればディスカウントストアの方が安価(コスパが高い)に決まっています。その一方で細やかな質問にも丁寧に答えてくれたり商品の手配もきめ細やかに行ってくれる(人的サービスが高い)のはやはり高級百貨店。これはどちらが良い、悪いということではなくそれぞれに役割があり
「その商品に詳しいのなら、ディスカウントストアで購入した方がコスパが高い」
「その商品に詳しくないのなら、高級百貨店で購入した方が安全である」
という違いがあるだけです。
そしてこれが見落とされがちですが、
「家づくりは、請負契約の時点では30%程度しか内容が固まっていない」(重要!)
ということ。
例えばシャンプーや清涼飲料水などは、ディスカウントストアで購入しようと高級百貨店で購入しようと中身は100%一緒ですし使い方も変わりません。だからこそコスパで選んでもさほど問題ありません。
ところが家づくりは請負契約を結んでからが本番というか「大切な残りの70%がいよいよ始まる」くらいしか進んではいないのです。
にもかかわらず、もしディスカウントストアのようなサービスしか受けられないとしたら・・?
さてそろそろお気づきかもしれませんが、これを読んでくださっているあなたは家づくりについてどのくらい詳しいのでしょう?もし
・一級建築士くらい注文住宅業界に明るく、建築資材の価格相場も熟知していて
・次々に発生する諸問題を見事に自己解決できて
・建築会社との交渉術に長けている
のなら建築会社をコスパで選べばいいでしょう。何も問題ありません。
もしそうでないとしたら「コスパで選ぶから家づくりが失敗する」ということをどうか覚えておいてください。
・・え?
「これだけ大きな金額なんだから、きちんとした人的サービスがあるはずに決まっている」ですって?
では次回はそのあたりの(少し怖い)話をします。
どうぞお楽しみに。