この業界に入ってから15年近くが経ちますが、当初からずーっと言い続けてきたことがあります。
それは「建築会社を決める前に、土地を契約するな!」ということ。
にもかかわらず「土地を契約してきました」というお客様とは年間に数件お会いするので、先に土地を決めてから建築会社を決めるというのが一般的な認識なんだなと思わされます。
そこで今回は「先に土地を契約してしまったあなたが知っておくべきこと」をご紹介いたします。
◇超重要!「融資利用の特約による解除はいつか??」
宅地建物取引士として重要事項説明書を作成する際に、いつも真っ先に検討するのがこれで、「住宅ローンの本承認をいつまでに得なければならないか?」という期日のこと。
わかりやすく「売買契約を1月1日に交わした」「融資承認期日が売買契約から1か月後(つまり2月1日)」というところから逆算していきましょう。
多くの金融機関では本申込の融資承認には10日くらいかかりますが、もしちょっとでも書類の不備があると平気で14~20日くらいかかります。ここでは奇跡的に全くミスがなく10日で審査を終えられたとしましょう。2月1日の10日前、つまり遅くとも1月22日くらいには「本申込書類」を金融機関に提出しなければならない。
さて本申込書類の必要書類とはいったいなにか。ほとんどの金融機関では「建築会社との請負契約書も添付せよ」というルールが設けられています。
・・おわかりいただけましたか??
つまり「1月22日時点では、すでに建築会社と契約を締結していなければならない」んです・・
建築会社によっては契約書作成に5日ほど要するという会社も少なくありません。それを踏まえると1月17日には「おたくの建築会社と契約をします」という宣言が必要です。
失敗しない家づくりのためには複数の建築会社の比較や検討もしたい。できれば「図面・見積・仕様書」の三点セットは少なくとも各社から集めたい。
ところが建築会社によっては「見積と図面提出には7日は少なくともかかる」「設計士の都合が合わないので14日くらいかかる」「見積を提出する前に工場見学会に参加してもらわないと出せない」などという会社もある。仮に14日かかるとしたら「1月3日には気になる建築会社へ見積依頼をしておく必要がある」
もし家族の誰かが「いやー、土地探しは苦労したけどようやく契約までこぎつけたね。今まで忙しかったから次の休みはサッカーの試合でも観戦しにいこうよ、建築会社探しは慌てずゆっくりすればいいじゃないか」なんて言い出したらもう・・・!
間 に 合 わ な く な っ て も 知 り ま せ ん よ
さて、ここからが本当に怖い話です。
もし融資承認期限を過ぎた後に「本申込が通らなかった」「予算のあてがなくなってしまった」となったら、違約金を支払って解約するしかありません。
「どのくらい支払うか」って?
一般的には売買金額の20%が相場。もし購入した土地が2800万円だったとしたら「相手方に560万円を支払って、ようやく契約解除する権利を得られる」という話になります。もちろんあなたの手元には何も残りません、違約したのですから。
「手付解除をすれば解約できるんでしょ」って?
手付の解除期限はたいてい融資承認期限より前である、つまり手付放棄で解除できる期限が過ぎてしまっているのが普通ですからその手は使えません。
「何か抜け道はないのか」って?
・・実をいうと、無いではないのです。
それは「建築会社との請負契約書が無くとも本申込ができる金融機関を探す」または「売主側と融資承認期限延長の覚書を交わす」の2つ
前者は「〇か月以内に建築会社と請負契約を交わせばよい」という内容になっていますが、すべての金融機関がそれを行っているわけではないことから、本当ならもっと有利な金融機関を選べたはずだというデメリットがあります。
後者は「相手方の善意と無知に賭けるしかない」という大きな危険性があります。もし売主の性格が悪く、しかも売買取引を熟知していたら・・怖くてこれ以上は書けません。
【結論】
土地の売買契約を先に交わしてしまったあなたがすぐにでも行うことは、サッカーに行くことでもキャンプに行くことでもありません。
建築会社の決定に向けて動くことです。すぐにでも建築会社を尋ねて図面・見積・仕様書の三点セットを入手してください。
または(関東周辺のお客様に限りますが)弊社エシカルファームをお問い合わせください。可能な限りお力添えいたします。