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年間で200~300冊くらいの読書量のワタクシでございますが、(マンガ含む)

「2023年のナンバーワンはこれ!」と言って差し支えない本を今回はご紹介いたします。

世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」

山口周さんという著者は大手広告会社をから、大手外資系コンサルティング会社を経て現在ではさまざまなワークショップやパブリックスピーキングに携わっている異色の経歴をお持ちです。
(ちなみに転職にまつわる同氏の著作によると「広告代理店とコンサルは行動指標が180度違う」という内容で非常に面白かったのですが、紹介は別の機会に譲ります)

いやー、面白かった。
それまで「クラフト」に偏重していたビジネスシーンにコンサルティング会社が初めて「サイエンス」を持ちこんだことにより大きな発展を遂げたわけですが、本書では「その両者だけでは再現性がある」という点で競争戦略上の差別化にならないと喝破。
またそれによって馬車馬のように社員を使い倒すことで成果を挙げようとする組織に変貌していく、ないし「成果のためにはモラルなど飛び越えてしまえ」という風土を生み出すことになるというのです。
本書の一部をご紹介します。

>アカウンタビリティとは要するに「言語化できる」ということだ、とはすでに指摘しましたが、忘れてはならないのは、言語化できることは、全てコピーできるということです。
>これは「差別化」の問題を扱う経営戦略論において、なぜかほとんど言及されないポイントなのですが、今日の競争戦略を考える上においてはとても大事な点だと思います。

>では、何を判断の拠り所にするのか?  もうおわかりでしょう。システムの変化があまりに早く、明文化されたルールの整備がシステムの進化に追いつかない世界においては、自然法的な考え方が重要になってきます。
>つまり内在化された「真・善・美」の基準に適っているかどうかを判断する力、つまり「美意識」ということになります。

>科学でなければ、何が答えを準備してくれるかを明言することは難しいですが、その答えのひとつとしてあるのは「倫理」でしょう。人間が何をすべきか、何をなすべきでないかの線引きは、科学では用意できません。
>村上陽一郎

> 先述した通り、経営におけるサイエンスの側面を偏重し、過剰に論理と理性を重んじて意思決定をすると、やがては必ず差別化の問題に行き当たることになり、市場は「赤化」します。

>そのような市場で生き残ろうとすると、企業の統治や運営は、現状の延長線上にストレッチした数値目標を設定し、現場のお尻を叩いてひたすら馬車馬のように働かせるというスタイルに傾斜せざるを得ません。

>重大な事故につながりかねない不具合を隠す、あるいは実際に重大な事故が起こった後も、それを隠し続けるということを、数千人単位の組織でやり続けることができた、ということは一つの必然的な帰結をもたらします。
>それは、これらの非倫理的な営みに携わっていた人たちにとって、「誠実さ」とは、自分が所属する組織の規範・ルールに従うことであり、社会的な規範あるいは自分の中の規範に従うことではなかった、ということです。

いやー、ホントおもしろい!
これを読むとなんかこう、某ハウスメーカーのことや某中古自動車販売店のことをつい連想してしまいますね。。
「長時間労働が全てを解決する」のではなく「倫理(エシカル)と美意識(オーセンティック)」が次の時代を開いていく。
手前味噌ながら、弊社エシカルファームの理念と共通するところがあるかも、しれません。